認知科学的アプローチとは
人が学ぶ時の構造
下の図は人間の情報処理のモデルで、認知心理学での考え方です。
・人間は入力情報を取り入れる時に既有の知識を使って、情報を理解して取り込みます。 =丸暗記ではありません
・意味づけをすることで多く、長く記憶 できると言われています
もっている知識や記憶、考え方等が間違っ ていると、出される答えも違います。それを認知のゆがみと言います。
自己調整学習のチカラは、このような場合でも、違うことに気づいたり、自分で修正する、修正する方法を考えることで、学習を自分で進められます。
人間の情報処理モデル
(市川伸一:東京大学名誉教授 認知心理学者)
認知科学的アプローチ
学習の自立とは、学習規律(静かにする、時間を守るという行動主義的なこと)をまもるだけではありません。
認知科学的な学習の自立に必要な要素は以下の3つです。
*動機づけ<学ぶ意欲のもちかた>
*学習方略<学びに取り組む方法>
*メタ認知<自分自身を客観的に認識する力>
これらの要素を自分でコントロールしながら学ぶことを
「自己調整学習」といい、子どもの学習力として、
学び方教室で 身に付けて欲しい力です。
学ぶ意欲とは(学びを楽しむ動機づけ)
上の図は学習動機の2要因モデル(市川伸一、1995)です。
動機づけには、内発的動機付けと外発的動機付けがあると言われています。
その二つの動機づけについてをさらに細かく分類されています。
学習内容の重要性(縦軸)、学習の功利性(横軸)によって6つに分類しています。
①充実志向 (学習していること自体がおもしろい)
②訓練志向 (自分が高められる)
③実用志向 (将来の役に立つ)
④関係志向 (教えてくれる先生のため、先生が好き)
⑤自尊志向 (ライバルに負けたくない)
⑥報酬志向 (おこづかいがもらえるから)
様々な動機づけを持っていて構いませんが
①②③ → 自ら学習を進め続けていける可能性が高い
④⑤⑥ → 外発的動機がなくなった時にやらなくなる可能性が高い
ということを考えると、①②③の動機づけ、特に①の動機づけを
持つように支援していきます。
学びを支える学習観(効果を高める学習観)
①思考過程重視志向 = 解き方まで理解すること、何通りも解き方を考えるとが大切
②意味理解志向 = 公式などを覚える時に意味を理解することが大切
③方略活用志向 = 工夫して解き方を考えることが大切。
自分に合った勉強法を考えることが大切。
④失敗活用志向 = 間違えた問題はやり直す。失敗、間違いから学ぶことが大切
⑤結果重視志向 = 解き方がわからなくても答えが出ることが大切。
テストでいい点を取ることが大切
⑥丸暗記志向 = テストにでそうなところを丸暗記することが大切
⑦勉強量重視志向= たくさんの問題を解く、覚える。長い時間勉強をすることが大切。
⑧環境重視志向 = わからないことはすぐに誰かに教えてもらう、塾に通うことが大切
学習に対する姿勢、考え方を8つに分けて考えます。
①~④を認知主義的学習観、⑤~⑧を非認知主義的学習観と呼びますが
認知主義的学習観をもっている方が、より楽しく、より継続した学びへとつながります。