全集中。マインドフルネス。
目の前に白銀の広場。
その先にある白い頂上。
往復して暗くなる前には戻ると決める。
よし。
歩き出す。
雪の上、不慣れとはいえ、まだまだしっかり歩ける。
ひたすら歩く。
雪の中を一歩一歩、
身体のバランスを取りながら、
足に伝わるざくりざくりという響きを噛み締める。
雪の深さはその下に何があるかによって一定ではない。
片足が雪の深いところに踏み込むと
ぐらりと身体がしなる。
急斜面では膝ほどの高さの一歩に体重をかけることで自らを上にあげる。
踏み込みが甘く、滑り落ちそうになるのをこれもまた身体中の力を足先に集中して踏み止める。
身体中が熱くなる。
大きな体の動きはエネルギーを消耗するから、呼吸を整え、少しずつ、少しずつ進む。
視界が開け、
ハッとする。
目的の景色を眼下に見る時、
頭はスッキリとし、心の開放感、達成感からの適度な身体の疲労感は素晴らしく心地いい。
今、目の前の事に取り組む。
自分の心と身体がどういう状態かを見つめながら、他の事に注意を削がれる事なく取り組む。
自己との対話とアウトプット
黙々と歩きながら色々な感情が湧き上がってくる。
それを聞きながらそのまま受け止める。
今の様子やそれまでのことまでも。
あぁ、あれは嬉しかった。 そっか、それは嫌だったんだ。
たくさんの声が心の奥底にあるのを受け止めているとその根本はそれだったのか、などと本音に出会い、驚いたり、納得したりする。
呼吸を整えそうかそうかと受け止める。 いつの間にか〝無〟になっている自分に気づく。
これをマインドフルネスという。
今回は一歩一歩踏み締めながらの登山でなんとも不思議で心地よい自己認識の精神状態になった。
自然体験の良さはここにもある。
日常のいろいろ気になるものから身を遠ざけ、目の前のものと自分に向き合う。
参加した子ども達は研ぎ澄まされた感覚を得て目は輝き、晴れ晴れとした表情が抜群になる。
以前書いた深い呼吸を経験したなら、身についたなら、ぜひともどこでもできるマインドフルネスに取り組み、自分に〝よし〟と伝え、自立していって欲しい。
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