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執筆者の写真みやけもとゆき

冒険キャンプの秘密【まほらboの学習/仕事】


 2020年度の奈良の冒険キャンプが終わり、期間中150人余りの奈良市の5年生が参加してくれました。ポートフォリオの中で、親御さんにお知らせしたプログラムの構造です。


子どもが伸びる冒険キャンプ4つの段階と仕掛けについて。

【素地を整える(知識と技術を学ぶ)】第一日8時45分~13時まで

●入所式、オリエンテーション、活動のルール、自然環境学習、活動スキルトレーニング


「〇〇小学校の××××です。よろしくお願いします。長靴はいりますか?」今回は朝から好天に恵まれたので、受付でこんな会話が何度か交わされました。

「すみませんが、出来れば本人に受付に来てもらってもいいですか…」

お見送りに来られる親御さんの心配な気持ちは痛いほどわかるし、本人の不安な気持ちもわかるのですが、5年生です。自分で名前は言えるし、持ち物の質問もできます。

「この出会いを大切にしたい!」グループ作りをした時に、子どもたちから出た言葉です。班編成は当日子どもたちで決めます。アイスブレークのゲームで出来た偶然の組み合わせから、トレードタイムを経て決まるのです。グループを決めるたった1つのルール「誰一人、嫌な思いをさせないようにする」ことです。

森に入る前に、活動する時のルール、自然環境の問題、周辺エリアの情報、野外生活に必要な5スキル(ロープワーク、火起こし、刃物使い、野外調理、テント設営)を、班のメンバーが役割分担して練習します。


※活動に必要な知識や技術を体験的、相互的な方法で学べるようにコーチが指導します。役割にあたった児童は班で他のメンバーに伝えます。班名を決め班旗をつくる過程では、活動の基礎となる関係性を整えチームとしての帰属意識を促します。

【個人やチームの理解を確認する】第一日目13時半~21時45分まで

●自然再生エリアフィールドの観察、プレイパーク1へ移動、班サイトの設営、振り返り


「学校から日帰りで来たことあるけど、こんなことしなかった。新しい友達も増えて、すごく楽しい!」と、子どもが言います。学校の引率は学年行事なので、オリエンテーリングやカレー作りなど大勢が一斉に出来る活動内容が中心です。対して学級1クラス分までの30人が定員の冒険キャンプは、子ども中心にスタッフの手厚いサポートで実施しています。

 子どもは学んだ知識や技術をつかって、2日間の野外生活の拠点になるキャンプサイトを仲間と対話しながら作ります。コーチは、チームの状況をみながら課題に取り組めるように適切に介入します。ノコギリを使ったり、ロープワークしたり、焚火で暖をとったり、調理をしたり、学んだ技術をフルにつかい夜まで野外生活を仲間と共に楽しみます。

 真っ暗な森の闇夜や月明かりの夜道を体験しながら、日常生活をみることで、便利な文明とは何か、自然と共に生きるとはどういうことか、などに思いを馳せます。班活動が終わるとお風呂の時間からは、男女に別れる生活活動です。ここでも子どもたちには自由な選択と同時に、他者を思い遣る行動が求められます。


 技術系教科と同じで、練習で1回やったくらいではなかなか上手くできません。使うには工夫が必要で、回を重ねるごとに上手くなって自信になります。夜は、焚火を囲んで1日の振り返りみんなで語り合い、チームで達成したことを確認します。


【チームで挑戦し理解を深化させる】7時~11時半まで

●朝食、パン生地仕込み、プレイパーク1.2での自主班活動


「散歩にいってきました!」窓の向こうで男子児童が、口に手を当て小声でささやいています。食堂で朝食準備をしている私は、笑顔でokサインを出します。時計を見ると、もうすぐ6時です。ここでのルールは「眠っている友だちの迷惑にはならないようにする。自分の体調を考えながら行動する。」です。子どもには、寝不足で事故や怪我の無いようにするため、自分の身体の状況を見定めることを求めます。


 こうして朝ごはん前に、早起きする子どもたちは散歩に出かけます。外に出るルールは、「怪我をしないよう安全に遊ぶ。知っているところへいく。」の2つです。前日に、かなり広範囲な場所で活動をしているので、「知っているところ」という条件で、散歩コースは自由に選べます。それを通して前日の活動を振り返りながら、「今日は何をするか」考え合い決めることができます。

 朝食が終わると、片付けをしてお昼ご飯に食べるパン生地を仕込みます。それから班単位で何に取り組むかを決め、各班で自由に過ごします。サイトを充実させる班や、人間の巣(ダ・ヴィンチグリッドプロジェクト)に、挑戦するグループなど、自分たちで相談して自由に決めることができます。

 お気付きだと思いますが、これまで各場面では自由な選択を基本とし、そこに責任が伴う最低限のルールが課せられています。またルールは「~しない」ではなく「~する」となっています。規制するのではなく、より良い行動を促す指導を大切にしているのです。2日目は、初日に体験したことを基にして、自分たちでやることを決め挑戦することを促します。学んだことを使って、より発展、深化した活動を促すのです。


【個人で全体を振り返る】11時半~14時15分

●昼食、サイトの撤収、2日間の振り返り、未来の希望とクロージング、記念撮影、退所式


お昼ご飯は、自分たちで生地から作ったパンを焼いて食べます。パン焼きをする間に、じっくり話し合い、この2日間での出来たことなどを振り返ります。食事を終えて、撤収しながら、最後の冒険として初めてのコースを下山します。

最後に新しいコースを体験するのは、まだまだ知らないことがあり、里山遊びはもっと開拓できることを感じてもらうためです。

プレイルームで2日間の振り返りをして、次の目標を話し合い、ポイントカードが渡され、退所式を行います。最後の振り返りでは、2日間を通した全体で印象に残ったこと、未来に取り組みたいことなどを話し合います。里山遊びで工夫したこと、もっと挑戦したいことを仲間と分かち合います。自分のできたこと、できなかったことを知ることは、自信と次なる目標を明確にすることでもあります。


 この4つの場面は、放課後まほらboのオンライントークに登場して頂いた認知心理学者で東京大学名誉教授の市川伸一先生が提唱しておられる授業設計「教えて考えさせる授業」に基づいています。また冒険キャンプ2日間を通して「振り返り」活動を重視しているのも、学習の素地を整えるために必要といわれている「メタ認知」を育成するための手法として大切にしているためです。


自然体験活動のプログラム設計理念は、「自立」を促すことで、自分の頭で考え、表現できるための力を子どもにつける事なのです。放課後まほらboの活動理念と共通します。

文責:三宅基之(マネジメントコーチ)


まずは、3月7日(日)秘密基地計画”X” & 午後は解説

遊び仲間募集中!!


3月14日(日)オンライントーク

体験活動の効果についてなどお話が聞けます!


*一部料金変更しました!!


まほらboのご案内 毎週火曜日金曜日。

小学校3年生以上推奨。

オフラインの会場は東京都小金井市です。

教材、材料費などは別途。月2万!

お問い合わせは

オンラインでの受講も可能です。(月1万)


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